書き手のためのマガジン
章 一: 技法と実践
最初の一文から完成原稿まで。道具、習慣、そして出版社の机に届く原稿の形。
記事 6 本
- 小説執筆ソフトの選び方:長編を書き上げるための道具の基準長編小説は、何か月も何年も付き合う文書です。本一冊分の原稿を支えるために執筆ソフトに求められること、定番ツールの比較、そして原稿を特定のソフトに閉じ込めないための選び方をまとめました。8 分で読めます
- はじめての小説の書き方:アイデアから初稿の完成まではじめての長編が挫折する理由は、才能の不足ではありません。多くは途中で止まってしまうのです。最初のひらめきから初稿の完成までを支える原則と、磨くことより書き終えることが大切な理由をまとめました。7 分で読めます
- 原稿用紙換算と応募原稿の書式:枚数の数え方と整え方日本の新人賞や出版社は、原稿の長さを400字詰め原稿用紙の枚数で測ります。原稿用紙換算とは何か、文字数から枚数を見積もる方法、応募原稿によく指定される書式、そして素人らしさが出てしまう失敗をまとめました。7 分で読めます

- 原稿とは何か:意味、段階、応募用の原稿初稿からゲラまで、本はずっと「原稿」と呼ばれますが、いつも同じものを指すわけではありません。言葉の意味、原稿がたどる段階、そして新人賞に送る原稿がどうあるべきかを解説します。7 分で読めます
- 絵本・児童書の書き方:対象年齢、長さ、絵との関係児童書は短くても、簡単ではありません。どの形態がどの年齢に合うのか、長さの目安、ひらがなと漢字の使い分け、文と絵の役割分担、そして児童文学の新人賞に応募する前に知っておきたいことをまとめました。7 分で読めます
- 二次創作小説の書き方:技術、コミュニティ、オリジナルへの一歩多くの書き手にとって、二次創作はすべての始まりであり、本物の修業の場です。二次創作に求められる技術、ファンコミュニティの約束事、著作権について知っておきたいこと、そして二次創作をオリジナル小説へ育てる方法を解説します。7 分で読めます
小説執筆ソフトの選び方:長編を書き上げるための道具の基準
長編小説は、何か月も何年も付き合う文書です。本一冊分の原稿を支えるために執筆ソフトに求められること、定番ツールの比較、そして原稿を特定のソフトに閉じ込めないための選び方をまとめました。
8 分で読めます · 2026年9月23日 更新
多くの小説は、パソコンにたまたま入っていたソフトで書き始められます。それで構いません。最初のうちは、とにかく言葉を書き留めることがすべてだからです。けれども第三章あたりで、多くの書き手は気づきます。本は、社内文書やレポートとはまったく別の生きものだということに。長く、動く部品が多く、何度も組み替えられ、最後には新人賞の応募原稿や、ストアに通る電子書籍、印刷所が受け取れる入稿データにならなければなりません。
ですから、正しいソフトとは機能一覧がいちばん長いものではありません。こうした要求を、書き手の邪魔をせずに支えてくれるものです。以下の基準は、最終的にどのツールを選ぶにしても、判断の物差しとして役立つはずです。
第一に:原稿が安全で、あなたのものであり続けること
これ以上に大切なことはありません。失われた章を、元と同じ出来で書き直せることはまずないからです。確かめてください。ソフトは打鍵のたびに保存してくれるのか、それとも自分で保存を覚えておく必要があるのか。以前の版に戻れるか。ノートパソコンが壊れたり盗まれたりしたら、どうなるのか。
同じくらい大切なのが、原稿をいつでも、広く使われている開かれた形式で持ち出せるかどうかです。独自形式でしか本を保存せず、書き出しが貧弱なソフトは、あなたを囲い込むソフトです。第一章を書く前に、試しの文書がWordファイル(.docx)、プレーンテキスト、そして自費出版を考えているならEPUBとして、きれいに書き出せるかを確認しておきましょう。
第二に:章単位で考えられること
終わりのないひとつの文書に長編を書くのは骨の折れる作業です。スクロールに時間がかかり、場面を動かすには何十ページにもわたって切り取りと貼り付けを繰り返すことになり、全体像も見失います。本のために作られたソフトは、原稿を章や場面に分け、それぞれを個別に開き、ドラッグで並べ替えられるようにしています。
本文以外のものの置き場所があるかも見てください。登場人物のメモ、舞台設定、年表、取材資料です。ばらばらのファイルに散らばったメモは、必要なときに見つかりません。何を記録しておくとよいかは、登場人物の設定の作り方で紹介しています。
第三に:書き手をそっとしておいてくれること
下書きに必要なものはごくわずかです。本文と、せいぜい文字数の表示、そして強調を付ける手段くらいでしょう。リボンメニュー、余白の設定、赤い波線、レイアウトの悩みは、物語から書き手を引き離します。だからこそ、言葉以外のすべてが消える簡素な執筆画面を大切にする作家が多いのです。
これは好みの問題にとどまりません。下書きの最中に紙面の体裁ばかり見ていると、物語を語る代わりに組版を始めてしまいます。よいソフトは、書くことと体裁を整えることを分け、整形の道具は求められたときにだけ差し出します。
第四に:完成した本までの道筋を知っていること
原稿はいずれ手元を離れます。新人賞の多くはWordファイルやテキストファイルでの応募を受け付けており、1行の字数と1ページの行数、縦書きか横書きか、そして原稿用紙換算の枚数を細かく指定しています。自費出版なら、ストアの審査に通るEPUBと、紙の本には扉やノンブル、柱の入った入稿用PDFが必要です。
ツールの差がいちばん大きく出るのがここです。純粋な執筆環境で、整形は別のソフトに任せるもの。完成した本文を受け取って組むだけの整形専用ツール。その両方をこなそうとするもの。どの道も間違いではありませんが、必要になる前に、自分がどの道にいるのかを知っておくべきです。
定番ツールを一覧で
| ツール | 強み | 注意したい点 |
|---|---|---|
| Microsoft Word | 出版社や編集者との共通言語。変更履歴とコメント。縦書き設定や字数・行数の指定も可能 | 長い原稿は扱いにくくなり、章の移動が面倒 |
| 一太郎 | 縦書き表示や原稿用紙のレイアウトなど、日本語の文章作成に強い国産ワープロ | 編集者とのやり取りは最終的にWord形式になることが多い |
| Googleドキュメント | 共同作業が簡単で、どの端末からも開ける | 本文は提供元のサーバーに置かれる。非常に長い文書は動作が重くなる |
| LibreOffice Writer | 無料で、開かれたファイル形式。安定している | Wordと同じく、本ではなく文書のために作られている |
| Scrivener | 場面単位の整理、プロジェクト内の資料管理、柔軟なコンパイル | 習得に時間がかかり、コンパイルを使いこなすには慣れが必要 |
| 整形専用ツール | 完成した原稿から美しい電子書籍や印刷データを作れる | たいていは最後の工程向けで、下書きには向かない |
プロの多くはツールを使い分けています。静かな環境で下書きを書き、出版社の編集者が関わる段階でWordに移る。編集者とのやり取りは変更履歴やコメントの上で行われることが多いからです。受け渡しで何も失われない限り、このやり方はよく機能します。
第五に:原稿を読めるのは誰か
未発表の原稿には価値があり、個人的な内容を含むこともあります。原稿をクラウドに保存するソフトなら、プライバシーポリシーを読んでください。データはどこに保管され、提供元はそれを読めるのか。エンドツーエンド暗号化なら、本文は端末を離れる前に暗号化され、提供元は自分では復号できないデータを預かるだけです。
同じ問いはAI機能にも当てはまります。本文はソフト会社のサーバーを経由するのか。それとも、自分で選んだAIの提供元へ直接送られるのか。
第六に:端末、オフライン、費用
書くのは机の前だけですか。それとも通勤電車のノートパソコン、Wi-Fiのない機内、夜のタブレットでも書きますか。それなら、ソフトはそのすべての端末で動き、ある版が別の版を黙って上書きすることなく、作業を確実にまとめなければなりません。オフラインでも書き続けられ、接続が戻ったら追いつくことも必要です。
価格は、一冊の本の一生で考えてください。買い切り、サブスクリプション、有料アップグレードのある無料プラン。どれも理にかなう場合があります。大切なのは、支払いをやめたときにも自分の原稿にたどり着き、書き出せることです。
決める前に
- 自動保存と、以前の版への復元がある
- .docx、プレーンテキスト、EPUBへの書き出しを試しの原稿で確認した
- 章を個別に開き、並べ替えられる
- 登場人物、舞台、メモの置き場所がプロジェクトの中にある
- 気を散らすもののない、静かな執筆画面がある
- データの保管場所と、誰が読めるのかがはっきりしている
- 応募先や入稿先が求める形式に、最終的に整えられる
- 料金体系が自分の計画に合っている
よくある質問
長編小説はWordで書けますか?
書けます。数えきれないほどの本がWordで書かれてきましたし、多くの出版社も原稿のやり取りにWordを使っています。長い原稿では見出しスタイルとナビゲーションウィンドウを使うか、章ごとにファイルを分けると、全体を見失わずに済みます。
執筆の途中でソフトを乗り換えてもよいですか?
新しいソフトが既存の原稿をきれいに取り込める場合に限ります。まずコピーで取り込みを試し、章の数と文字数を比べてから、新しいツールで書き進めてください。
新人賞に応募するには縦書きのソフトが必要ですか?
必須ではありません。縦書きを指定する賞もありますが、横書きで書いた原稿も、最後にWordや一太郎で縦書き・指定の字数と行数に整えれば応募できます。書き始める前に募集要項を確認し、最終形式への変換を一度試しておくと安心です。
自費出版には別の整形ソフトが必要ですか?
必ずしも必要ではありません。大切なのは、ストアの審査に通るEPUBと、紙の本なら正しい判型、余白、埋め込みフォントを備えたPDFです。それを執筆ソフトで作るか、二つ目のツールで作るかは、使い勝手の問題です。
章 二: 作劇と人物
物語を支えるもの。緊張、転換点、そして願いが筋を動かす人物たち。
記事 3 本
- 小説のプロットの作り方:定番の方法を比べる三幕構成、起承転結、ヒーローズ・ジャーニー、スノーフレーク法、「SAVE THE CAT」、場面カード。それぞれの方法で何ができ、誰に向いているのか、そして長編にはどれだけの準備が本当に必要なのかを解説します。7 分で読めます
- 登場人物の設定の作り方:奥行きのあるキャラクターを育てる役に立つ人物設定シートは、瞳の色や好きな食べ物の一覧ではありません。物語を生み出す道具です。何を書いておくべきか、欲求・傷・本当に必要なものがどう結びつくのか、そして執筆中に設定をどう使うのかを解説します。7 分で読めます
- プロットとは何か:物語の設計図プロットとは、単に起きることではありません。出来事を因果でつなぎ、対立で動かし、高まっていく流れへと形づくるものです。プロットが何からできているのか、そして自分のプロットが持ちこたえるかどうかを確かめる方法を解説します。7 分で読めます
章 三: 文学の世界
スリラーから児童書まで、各ジャンルの決まりごと。そして、あえて破る価値があるとき。
記事 3 本



- ミステリーとスリラー(サスペンス)の違いとは同じ棚に並ぶことの多いミステリーとスリラーですが、緊張の生み出し方は違います。一方は謎で、もう一方は脅威で読ませます。構成、視点、テンポの違いと、それぞれに属するサブジャンルを解説します。7 分で読めます
- 小説のジャンル一覧:書き手のためのガイド恋愛小説からSFまで、本格ミステリーからライト文芸まで。小説の主なジャンルとサブジャンル、純文学とエンタメの区別、ジャンルと読者対象の違い、そして新人賞選びやネット書店でジャンルの見極めが大切な理由を解説します。8 分で読めます
- ダークロマンスの書き方:約束事、読者の期待、責任ある書き方ダークロマンスは、恋愛に暗いテーマ、善悪の揺らぐ人物、意図して心をざわつかせる瞬間を組み合わせたジャンルです。その定義、読者が期待するもの、そして注意書き、描き方、プラットフォームの規約を丁寧に扱う方法を解説します。7 分で読めます
章 四: 本の美学と組版
版面、書体、装丁。最初の一行を読む前から、手にした本を価値あるものにする要素。
記事 2 本
章 五: 読者への道
あらすじ、出版社、セルフパブリッシング。原稿が本になるまでの道と、それぞれに求められること。
記事 3 本

- 本を出版する方法:原稿を読者に届けるまでの道筋新人賞、出版社への持ち込み、Web小説からの書籍化、自費出版、そして有料の出版サービス。本になるまでの道にはそれぞれ強み、費用、時間の違いがあります。自分の原稿に合った道を選ぶための、冷静な見取り図です。9 分で読めます
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章 六: 認知と広がり
読者が本と出会うまで。著者サイト、シリーズ、レビュー、そして本が実際に生む収益。
記事 3 本


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